30年遅れの映画日誌。三年目。 映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代に。
1981年2月23日月曜
マーティン・スコセッシ『レイジング・ブル』
新宿
マーティン・スコセッシ『レイジング・ブル』
新宿
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ぶるぶると震えがくる映画だった。
デニーロ&スコセッシ、最高の達成だ。
思えば、スコセッシがまだ「スコシージ」と表記されていた頃から、この作家の歩みを追いかけていたんだな。まるで自分自身の七転八倒を重ね合わせるみたいに。
スコセッシ・ベストは
『レイジング・ブル』
『明日に処刑を……』ボックスカー・バーサ
『ミーン・ストリート』
この三本がベスト。『タクシー・ドライバー』は別格というところ。あまり「らしくない」作品だ。
『明日に処刑を……』には、スコセッシのすべてが詰まっている。貨物列車(ボックスカー)の壁面に磔刑に処せられたデヴィッド・キャラダインにキリスト像を暗示させるモチーフ。それよりも、彼に追いすがって走るバーバラ・ハーシーが忘れられないです。
30年代ノスタルジア路線の一本。『俺たちに明日はない』に始まって、『ボウイ&キーチ』もそうだし、ウォルター・ヒルのデビュー作『ストリートファイター』もそうだった。