マイケル・チミノ『天国の門』

30年遅れの映画日誌。三年目。 映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代に。

 1981年10月1日木曜 曇り

 マイケル・チミノ『天国の門』

 銀座

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 『ディア・ハンター』のように感情移入することは難しかった。

 鉄道資本による開拓移民の虐殺テロ。ハリウッド西部劇においてはタブーでありつづけたテーマへの挑戦。――と、そんな公式的な評価にとどまってしまう。

 シネラマ大画面、大音響、大殺戮……。空しく身体のなかに響いて轟きわたる。

 作者の情念過剰がマイナスのほうにばかり拡散し空転していく。

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 『ディア・ハンター』の辛さとは逆に、辛いだけの空虚な映画だった。

 チミノはこれで大コケしたと映画史に残るわけだ。

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 映画のインサイド・ストーリー『ファイナル・カット』を後で読んだ。裏話のほうがずっと面白かったことも、余計に辛かったです。 

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