30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。
1983年5月23日月曜 曇り
ヴェルナー・ヘルツォーク『アギーレ・神の怒り』
新宿
ヘルツォークとクラウス・キンスキーのコンビはこれが最初。
『フィッツカラルド』をすでに観ていたので、びっくり度もいくらか緩和されたようだが。
あとに『ノスフェラトゥ』『コブラ・ヴェルデ』と続くけれど、なんといってもこの衝撃がダントツであった。
マカロニ・ウェスタンの悪役だとしか思っていなかったクラ・キンが狂気の征服王を演じきってしまうのだ。
『夕陽のガンマン』のクリント・イーストウッドは、この人の顔を壁がわりにしてマッチをすって煙草に火を点ける。
印象といえばそれしかなかった怪優がヘルツォーク映画の世界では唯一無二のヒーローだった。