『エメラルド・カウボーイ』を観たぞ

2004年10月30日

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 コロンビアの無法鉱山地帯で一攫千金の夢を追い求めた日本人の一代記。
 「エメラルド王」と呼ばれる男の半生は西部劇もどきの冒険に満ちていたのだ。
 その自伝をもとにした痛快なアクション・ドラマ。
 ――になるはずだったんだが。

 ロケ地その他の事情が重なり「ハーフ・ドキュメンタリー」という珍しい形式になった映画だ。
 ハリウッド風ドンパチとは一線を画した(ほんとうはソッチでいきたかったみたいだ)、きめの粗い実録フィルム・タッチの変わった作品。
 製作ノートを読むと、苦労の連続だ。
 まずアメリカ人監督の成り手がいない。ヒーローを演ずる日系俳優に逃げられる。
 そのために、自伝を書いた本人の早田が共同監督およびシナリオを兼ねるだけでなく、現在の彼自身の役を演ずることになった。

 早田英志(画像の人物)のカリスマはスクリーンにも転移するか。
 だが極端なワンマン映画が成功する確率は……。経験則では、ゼロに近くて。
 ロバート・エヴァンスの『くたばれ! ハリウッド』みたいなヘンなドキュメンタリーもあったし、実録やくざ映画でスカーフェイスの本人役を何度となく演じた安藤昇なんて人もいる。
 だから特に異例な作品というわけでもない。

 半分は夢の翼に乗った男のアドヴェンチャー・ロマン。
 半分はゲリラとの抗争に明け暮れる中途半端にシリアスな「実録」路線。
 まあ、とにかく面白い。
 こんな破天荒な日本人がいるのだ。

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