ペキンパー初出演作

2008.12.15   ペキンパー初出演作
 モンテ・ヘルマン『Chaina9,Liberty37』を偶然に観た。
 別タイトル『Amore,Piombo e Furore』 『Love,Bullet and Frenzy』
 ウォーレン・オーツ主演だったから、期待はしなかったが。
 やはり、最盛期から何重にも取り残されたマカロニ・ウェスタン。
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 俳優サム・ペキンパーのイントロデューシングのみがお目当てだったから、まあ、よかろう。
 といってもSP師の出番はほんの少し。
 この映画出演のために、ペキンパーは、編集中だった『コンボイ』の作業を人にまかせて、スケジュールをつくったという。  わざわざヨーロッパまで飛んだ値打ちがあったのかどうか。
 人口132人のチャイナという町。中国移民が多いのか。
 町の広場に絞首台が作られ、二人が吊るされる。
 この町の話かと思えば、そうでもない。
 途中、銃撃戦も数回あるし、ラストには一対一の決闘も用意されている。
 いちおうの見せ場は備わっているんだが。
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 荒野の真ん中に突如、サーカスの見世物テントが出現するとか。
 カルトなこだわりは色濃い。
 全体としては、遅れてきた西部劇、というしかない。
 その意味では、いかにもペキンパーにふさわしい暮色なのだ。
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 ペキンパーには、『ジュニア・ボナー』『パット・ギャレット』『コンボイ』と自作への出演はあり、また、フィルモグラフィにはもっと以前の出演歴も記されているけれど、これをもって出演代表作とすべきか。
 この当時、50を少し出た年齢のはずながら、ずいぶんと老けている。
 『コンボイ』を封切りで観て失望した頃、これを観なくて良かったと思う。
 ジャック・ロンドン『どん底の人びと』
 百年前の貧民街の探訪記。
 めぐりめぐっての現代性に、息をのむ。
 人を惨めな思いに追い込むのはむしろ、惨めに「生きる」ことなのである。つらい労働をしても一切報われずにいること、心が疲れ擦り切れているのに、孤独なまま連帯を断たれ、今の世界をあまねく支配している冷酷な「自由放任」の原理に包囲されること、これが人を惨めにするのだ。
 これはロンドンが8章冒頭に引用しているカーライルの文章(行方昭夫訳)。
 世界はまったく進歩していない。

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