『白いリボン』『愛の囚人』『パトリオット・ウォー ~ナチス戦車部隊に挑んだ28人~』『バーダー・マインホフ 理想の果てに』

2023.07.05 『白いリボン』 2009 DAS WEISSE BAND
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 「ピアニスト」「隠された記憶」の鬼才ミヒャエル・ハネケ監督が、ナチス台頭の時代の大人たちが子どもだった頃の北ドイツの田舎町を舞台に、人間の心の闇を痛烈に描き出すミステリー・ドラマ。敬虔な村人が暮らす田舎町で次々と巻き起こる悪意に満ちた不可解な事件と、それによってあぶり出される村人たちの不穏な素顔を、全編美しいモノクロ映像で綴ってゆく。2009年のカンヌ国際映画祭ではみごと最高賞のパルム・ドールを受賞。
 第一次世界大戦前夜、北ドイツの小さな田舎町。地主である男爵が支配するこの町で、ある日、帰宅途中のドクターが落馬して大けがを負う。道に張られていた細い針金が原因だった。その次には、男爵の製材所で女性の事故死が発生する。さらに、男爵のキャベツ畑が荒らされ、挙げ句に男爵の息子が行方不明になる。犯人がわからぬまま、敬虔な村人たちの間に不安と不信が拡がり、次第に村は重苦しく張り詰めた空気に覆われていく。 ーーallcinema.onlineより
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 全体のムードは、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの『密告』によく似たものだ。ナチス占領下のパリでつくられたフランスのサスペンス映画である。
 クルーゾー作品よりも、はるかに重苦しく辛い。風景の美しさと人物(とくに壮年男性)の耐えがたい醜悪さと。この対照をなんとみるべきか。終幕近くになって、第一次世界大戦(ヨーロッパ戦争)の勃発が告げられ、やっと物語の構造が露わになる。
 感動というにはほど遠いものだが……。
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2023.06.29 イゴール・バラノフ    『愛の囚人』 2014 SARANCHA

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2023.07.04 『パトリオット・ウォー ~ナチス戦車部隊に挑んだ28人~』  2016
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2023.07.01 ウーリー・エデル 『バーダー・マインホフ 理想の果てに』 2008 
DER BAADER MEINHOF KOMPLEX 

 60年代後半から世界中の若者の間に急速に広まった反帝国主義の過激な潮流の中ドイツに生まれた反権力組織“バーダー・マインホフ・グループ”のちのドイツ赤軍(RAF)の10年に及ぶ闘争の歴史を描いた実録ドラマ。理想に燃えた若者たちが、権力との闘争の中で過激化の一途を辿り、次第に孤立し自滅していく崩壊までの道のりをリアルに描き出す。主演は「マーサの幸せレシピ」のマルティナ・ゲデックと「es [エス]」のモーリッツ・ブライブトロイ。共演に「ヒトラー ~最期の12日間~」のブルーノ・ガンツ。監督は「ブルックリン最終出口」のウーリー・エデル。

 1967年6月、西ベルリン。反米を掲げるデモのさなか、学生の一人が警官に射殺される事件が起こる。現場を取材していた女性ジャーナリストのウルリケ・マインホフは、国家権力の対応に疑問を抱き、左翼学生の運動に共感を寄せていく。翌年、アンドレアス・バーダーは恋人のグドルン・エンスリンと共にベトナム戦争に抗議してデパートに放火、直後に逮捕される。その後2人の理想に共鳴したマインホフは、彼らの脱走を自ら手引きし、ついにそれまでの全てを捨てて彼らと共に暴力による抵抗運動に身を投じる決意をする。こうしてマインホフ、バーダー、エンスリンをリーダーとする武装組織、ドイツ赤軍(RAF)が誕生するのだが…。 ーーallcinema.onlineより

 バーダー・マインホフ・グルッペ。壊滅した彼らはすべて、獄中で「死を選ぶ」。
 その一方、新らたに呼応した者らが、ハイジャック闘争、政府高官の誘拐へとより過激な方針を選んでいく。そして、ミュンヘン・オリンピック事件、エンテベ空港銃撃戦へと……。

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