みんな王様の臣下だろ

2026.05.20 『オール・ザ・キングスメン』 2006
ALL THE KING’S MEN
 ロバート・ペン・ウォーレンのピュリッツァー賞受賞作を49年に続いて豪華キャストで再映画化した政治ドラマ。政治の腐敗に憤り知事選に名乗りを上げた理想に燃える一人の男が、いつしか自らも悪の道へと落ちていく姿を描く。主演は「ミスティック・リバー」のショーン・ペン、共演に「アルフィー」のジュード・ロウ。他に、アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、フレデリック・フォレスト。
監督・脚本は「ボビー・フィッシャーを探して」のスティーヴン・ザイリアン。


2026.05.27 『オール・ザ・キングスメン』 1949
ALL THE KING’S MEN
 やがて赤狩りの犠牲になり屈辱的な転向を強いられる事になるロバート・ロッセンが自ら脚本を書き製作した、政治腐敗のからくりを暴露する問題作。政界浄化を唱え知事選にうって出た小役人が、二度の落選で理想主義を地にまみれさせ、俗物に堕ちて行く様を、初めは彼に共感し取材を始めた記者(J・アイアランド)の視点から描く。やがて、汚い手口で知事になった役人は、彼に反対する人達を力で封じ込める独裁者になっていた。大変な愛妻家でもあった彼だが、やがて平気で妻を裏切る様になり、献身的に務める秘書をまで毒牙に掛けようとする……。元来、政治まで娯楽になるお国柄だが、ロッセンは持前のハードな語り口で畳み掛け、息もつかせず一気に魅せる。作品賞はもちろん、主演のブロデリック・クロフォードの他、秘書に扮したM・マッケンブリッジもオスカーに輝いた。ーーallcinema.onlineより

初見

 較べてみると、やはり20世紀版のほうが名作だ。
 原作の不徹底さを活かそうと試みた21世紀版に何やらもやもやした「未消化感」が残るのは仕方ないか。不徹底とは、主役とその語り手との「双方の物語」として読ませようとする原作者の強引な意図から発している。

 ロッセンの作品では、知事選に出る前のスターク(ヒューイ・ロング)の理想主義者的側面を強調している。彼を権力者に押しあげたポピュリズムのうねりを、ともあれ「支持」する立場なのだ。
 そして「悪は善から生まれる」というスタークの持論を、原作から離れた場面に当てはめることによって、より効果的に印象づけた。原作では、このセリフは、スタークが敵にまわろうとする判事を脅す場面で(一回だけ)使われるにすぎない。作者自身が、主人公にいわせた言説の重要さを感知していないようだ。

 原作では、語り手のスタークへの第一印象(騙されやすい田舎者の小役人)と、後の独裁政治家への変身とがたえず対比される。それは21世紀版映画のほうにより多く反映している。彼を対立候補の票を割るダミーに引きこむべく甘言を弄するタイニイ・ダフィ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)のセリフなど、原作の延長に、かなり書きくわえられている。
 20世紀版は、街頭演説するスタークが不当逮捕されるシーンを、語り手との出会いに「変更」した。彼の前身を、反権力のポピュリズム政治家という像に統一することによって、後の強権政治との対比に代えたわけだ。話はそれだけわかりやすくなった。


2026.05.28 『キングフィッシュ/大統領への挑戦』 1995
KINGFISH: A STORY OF HUEY P. LONG


 1935年9月8日、ルイジアナ州議事堂で暗殺されたヒューイ・P・ロング。民主党上院議員でルイジアナ州知事でもあるその人物は、カリスマ的な魅力で次期大統領選の最有力候補だった。政界の“キングフィッシュ(最重要人物)”と呼ばれたロングを撃ったのは前途有望だった若手医師カール・ワイス。ケネディ暗殺と並ぶ、アメリカ史の暗殺事件を真っ向から映画化した力作で、製作も兼ねたJ・グッドマンが体当たりでロングを演じている。ーーallcinema.onlineより


 You-Tube版なので、画質が悪く、字幕もなし。
 グッドマンはより本物のロングに似ているし、21世紀ロング(wrong)・ヴァージョンのキングD・Tにもそっくりだ。


2026.05.29 『Huey Long』1985
ドキュメンタリ


Ken Burns’ portrait of Louisiana governor/U.S. senator Huey Long.
Director Ken Burns
Writer Geoffrey C. Ward
Top Cast Huey Pierce Long、Russell Long、David McCullough、Jennings Randolph、Franklin D. Roosevelt、Arthur Schlesinger Jr.、Irving F. Stone、Robert Penn Warren etc


 没後半世紀という時点でつくられた記録フィルム。
 本人の思い出を語る存命者の「回想」も随所に。
 基本的には、英雄史観である。
 息子のラッセル・ロング(上院議員)はじめ、『オール・ザ・キングスメン』の原作者ロバート・ペン・ウォレンなど。

 議会の演説で一同を笑わせる「キングフィッシュ」。

 アメリカの現代史を変える可能性を秘めた政治家の「千両役者」ぶりは、遺された映像だけからでも鮮やかだ。

 ペンもクロフォードもグッドマンも、それぞれ健闘したが「役を演じた」にとどまった、ということになる。

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