30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。
1984年1月6日金曜 曇り
ファスビンダー、シュレンドルフ他『秋のドイツ』
銀座 試写室
西ドイツ70年代社会への映画人からの証言集。東西ドイツ時代末期のセンチメンタルな記録といったほうがほうがぴったりくるか。
トロッタの『鉛の時代』を先に観ているせいか、この映画には一種のアリバイの訴えしか感じ取れない。
とくにハインリッヒ・ベル脚本・フォルカー・シュレンドルフ監督のパーツがひどい。
過激派「テロリスト」を社会的に葬ることによって、バランスを取った西ドイツ市民社会への違和感。そうした違和感を映像化しても、それ自体の作品的鮮度はごくごく短いタイムスパンしか持ちえない、ということか。
結局、ファスビンダーによる自己破壊的ポースと自己憐憫にまみれた私小説的ドキュメントがいつまでも印象に残る。
だとしても、ここに表白された政治的意見の蒙昧さには唖然とせざるをえないではないか。
これが作品の生命?
http://atb66.blog.so-net.ne.jp/2014-11-11