リー・ダニエルズ『デリヴァランス -悪霊の家』

2024.09.04 『デリヴァランス -悪霊の家』 2024
THE DELIVERANCE
監督 リー・ダニエルズ
出演 アンドラ・デイ  グレン・クローズ  モニーク

 実話にもとずいた(と製作者はいう)エクソシストもの。エクソシストじゃない、と作中では力説されるが、非キリスト教徒には、どう違うのか、理解不能だ。
 変哲のない住宅地のなかの普通の家(地下室はある)にパワフルな悪霊が棲みついていて、引っ越ししてきた一家に取り憑く。
 これが、悪霊にやられなくても、崩壊寸前の家族。主婦(アンドラ・デイ)は、飲酒癖と暴力衝動をかかえ、DVを監視され、三人の子供たちの親権を取り上げられかけている。長男は家出寸前。同居の母親(グレン・クローズ)は、ワナビー・ブラックの白人女。このホワイト&ブラックの血縁の母娘が災禍のドラマの根源だ、とも思えてしまう。
 おまけに、このバアさんは、ガンの治療中で毛髪がほとんど抜けているのをウィッグに包み、黒人男との情事にはまだまだ現役でありつづけるって暮らし。グレン・クローズも七十路をとうに超えて、よくやるよ。『危険な情事』を彷彿させる熱演のグロさだな。
 この母娘の芝居がドロドロにもの凄すぎて、前半とくに、悪霊の出番もなく、エクソシスト・ホラーとしては盛り上がりに欠ける。それも仕方がないか。

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