30年遅れの映画日誌。三年目。 映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代に。
1981年2月14日土曜
マルセル・カルネ『天井桟敷の人々』
新宿文化シネマ2
伝説のフィルムをニュープリント版で観る。
アルレッティとか若き日のジャン=ルイ・バローとか。この映画でしか知らない俳優も含めて、スターの映画ではなく、スペクタクルの映画だ。二十世紀の大衆大通りの、モブシーンのための映画なんだな。
戦争に負けて映画で勝った国フランス。作品は永遠に残るから、なるほどこれが民主主義の勝利だ。
三時間をこえる上映。インターミッションをはさんだ「映画館体験」、至福の映画時間に身をまかせて、言葉もなくただただ溜め息。
いいなあ。