裏切りの闇に沈め

2008.02.02   裏切りの闇に沈め
 『裏切りの闇で眠れ』を観てきた。
 なかなか気にいったぞ。ジョン・ウー『男たちの挽歌』以来か。
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 ギャングこそ現代のヒーローだと大真面目に信じているようなつくり。
 裏切り・裏切られの単純なお話にすぎないんだが、男の華道をきっちり魅せてくれる。
 往年のスコセッシだな。いや、少なくとも『ディパーテッド』よりは格段に素敵だった。
 最後に流れるかったるいテーマソングが、マリアンヌ・フェイスフルなので、びっくり。
 かの時のアイドルが少しシワんだいがらっぽい声でうなる裏切りのバラード。
 主役のブノワ・マジメル
 これを機に開花しそうだ。マチュー・カソヴィッツ『憎しみ』に出ていたのだが、遺憾ながら、印象は残っていない。
 新007のダニエル・クレイグと同じで、プーチン顔なんだな。今どきのスターの傾向かもしれないけれど。
 基本的には、陰湿そのものの骨相。
 悪役しか似合わないはずだが。

 前に観た、タイトルもすっかり忘れてしまった反人身売買(キャンペーン)映画を思い起こした。
 悪の人買いロシア・マフィア(ロバート・カーライル)を正義の捜査官(ミラ・ソルヴィーノ)が退治する話。

 『ヒューマン・トラフィック』
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 前者がプーチン顔で、後者がヒラリー顔。
 いずれ劣らぬそっくりさんで、政治家とよく似たキャストを選んだ何かのたとえ話なのかと裏目読みすると、薄気味悪くなってしまった。
 ……プーチンとブッシュの蜜月は次期アメリカ大統領によって解除される、という予言みたいなもの?
 そういえば、(予備選でヒラリーに勝利するかもしれない勢いの)オバマの顔は、デンゼル・ワシントンにそっくりだ。
 デンゼルの新作『アメリカン・ギャングスター』は女性誌でプチ・ブームだという。
 ラッセル・クロウとは十数年前の『バーチュオシティ』以来の共演だが、善役と悪役が入れ替わった。
 善玉はテキトーに流して演じるくせに、悪役には異常なほどの入魂を示すデンゼルだから、そのギャング役は大いに期待させる。
 あんがい、これが次期大統領選挙の趨勢とシンクロしていたりして……。
 まるで関係ないが、必要あって、部分的に読んだ本。
 チェスワフ・ミウォシュ『ポーランド文学史』未知谷po.jpg
 アメリカの大学での講義録を元にしたものだというが、生きた言葉で語られる文学史に一驚した。
 まずたいていの文学史は眠たい言葉の羅列に終始してしまう。
 それだけ例外は光り輝くわけで、ポーランド文学という未知の領域に、そうした実例を見つけたことが収穫。
 990p  まるで奇蹟のような書物だ。

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