トルコ発の反米アクション

2008.02.15   トルコ発の反米アクション
 最近はレンタルで何を観てもすぐに忘れてしまう。
 忘れてしまうのは、無駄な情報を頭のなかから整理する意味でけっこうなんだが、観たという事実まで記憶にとどまっていないのは困る。
 それで、ごく私的に点数表でもつくり、気が向いたときに記しておくことにした。

イラク 狼の谷 06年 トルコ映画 ★★★★
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 監督 セルダル・アカル  これは大した期待もなく観た。ところがところが、である。
 何よりアクション映画としてだけ評価しても、しっかり出来ている。
 「全世界騒然の反米映画」だったとは、うかつにも後で知った。
 考えてみれば、ユルマズ・ギュネイ以来のトルコ映画だった。漫然と観ていて、気にかけていなかったのである。
 内容はどうということはない、アメ公を悪役にしたドンパチ西部劇。
 ただし主張は控え目、すべてはアクションが自ずと語る、といったつくりだ。
 トルコ、イラク、クルドの三者が団結(でもないが)して反米する。
 実情の詳しいところまでは知らず、こうした映画を作らせる空気はたしかにあるらしい。
 主演のネジャーティ・シャシュマズは、もちろん初めて観る。
 少し硬くて、主役だとわかるまで時間がかかった。
 ビリー・ゼインが元諜報員のアメリカ側の実力者役。砂漠の只中に君臨する狂気の帝国主義者だ。
 コンラッドの『闇の奥』の五番煎じといったところで、すこぶるわかりやすい。また出たかと思うが、しかしこの俳優では「狂う」まで深みは出てこないのが残念。ジョン・マルコヴィッチなら、ともかく。まあ、贅沢はいうまい。
 むしろゲーリー・ビジーが演じるマッド・ドクターが光っていた。捕虜を斬り刻んで、取り出した臓器を密売する医師。
 こういう奴ばかりいるような気がしてくる。

アンド・ジャステス 99年 アメリカ映画 ★
 監督 アルバート・ピュン
 主演 シルク・ザ・ショッカー アイス・T
 どうせ駄目だろなと思ってはいても、やはり腹のたつ駄作だ。
 アルバート・ピュンは『ネメシス』の他は全滅だな。
 前作の『ブロンクス・バーニング』もひどかったが。
 気をつけよう。時間の無駄だ。
 しかし人気ラッパーの出るストリート黒人アクション映画はどうしてこうもテキトーなんだろう。
 監督の名前で釣られても、事態は変わらず。
 最初のワンシーンを観ただけで、どれだけテキトーか歴然としてるんだから。
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俺が犯人だ! 55年 アメリカ映画 ★★★
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 これはGYAOの配信をダウンロードして観た。一度ファイルに落としてハードディスクに保存した分、手間はかかっている。
 期待はしなかったが、なかなかの満足度。
  『ハイ・シエラ』のリメイクということで、世評高いオリジナルと比べるとどうとかこうとかワリをくってきたような作品。
 しかし埋もれるには惜しい。
 シナリオは原作者のウィリアム・バーネットだから。むしろ原作のチープさが、前半にはよく出ている。
 主役のジャック・パランスも彼のベストじゃないかな。どうしてもボギーと比較して観られるのは損だが。
 あのご面相で、時おり可愛らしい表情まで見せるのだから驚いた。
 シェリー・ウィンタースも、いつものいかにも同情を引く役柄だが、悪くはない。
 チンピラ役のリー・マーヴィンアール・ホリマンが溌剌としているし、コメディリリーフのゴンザレス・ゴンザレスが短い登場シーンをさらっている。『リオ・ブラボー』の演技の基はここにあったのか、と納得した。
 後半の山岳地帯の逃亡場面のカラーも素晴らしい。
 むしろ『ハイ・シエラ』を上回る、といってもいいくらい。
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