マーティン・スコセッシ『ラスト・ワルツ』

30年遅れの映画日誌。三年目。 映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代に。

1981年10月13日火曜 晴れ

 マーティン・スコセッシ『ラスト・ワルツ』

 新宿

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 正味はコンサート・フィルムでも、これは作家が一生に一度しかつくれない作品だ。

 スコセッシ映画では『ニューヨーク、ニューヨーク』はともかく、『ミーン・ストリート』なんかは、まともに「音楽」映画だったのだと納得する。ゴダール
風にいえば、あるシーンのために特別の曲を選ぶことはそのまま映画を「撮る」プロセスにほかならない。初期のスコセッシは「音楽なしでは生きられなかった
時代」の空気をごく自然に発信していた同時代人だ。

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 これは70年代の退役兵士の詩だ。

 だからなんど観ても青春の甘酸っぱさに陶然としてしまう。「50歳になるまでロックを続けられるか」というロビー・ロバートソンの言葉は、要するに、引き返していく者のセリフだった。それがボブ・ディランとザ・バンドを決定的に、そしてシンボリックに分けた。

 どんな時代にも終わりが来る。
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 30過ぎたらフツウの生活にもどること。映画『ラスト・ワルツ』のメッセージはこのうえなく明快だった。

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